なぜ今 「リトルマーメイド」と「HIBARI」を同時にやるのか

NBAバレエ団6月公演
「リトルマーメイド」「HIBARI」- Koichi’s Room

なぜ今、「リトルマーメイド」と「HIBARI」を同時にやるのか

正直に言うと、今回の2作品は「やる意味」をかなり考えました。

バレエの世界では、同じ作品が何度も上演されます。
それは名作だからこそですが、一方で
「なぜ今この作品なのか?」
という問いに、明確に答えられないことも少なくありません。

僕自身、その曖昧さを感じてきました。

今回は、逃げずに考えました。
この時代に、この場所で、このバレエ団がやる意味は何なのか


まず一つ目が「リトルマーメイド」です。

世の中には、すでに完成された“人魚姫”があります。ディズニー作品です。

正直に言えば、ディズニー作品と普通に戦ったら勝てません。だからこそ、同じ土俵ではやらない。
僕たちは「体験」を変えようと思いました。
観るだけではなく、
一緒に感じる、一緒に応援する、一緒に楽しむ

劇場に入った瞬間から、海の世界に入り込んでしまうような体験。
子どもが飽きずに、大人もちゃんと感動できる。
そんな“ミュージカルのようなバレエ”はできないか。

そう考えていた中で出会ったのが、この「リトルマーメイド」でした。

振付家 リン・テイラー・コーベットの作品の中でも、バレエの楽しさをまっすぐ伝えてくれる力を持っている作品で、この作品もまた、リンが残してくれた大切な作品の一つです。

だからこそ、
この作品を今、届けたいと思いました。

そしてもう一つが「HIBARI」です。
この作品には、特別な背景があります。
この作品の振付家であるリンは、昨年亡くなりました。

僕が初めて彼女と仕事をしたのはアメリカにいた頃ですが、
「HIBARI」が生まれたのは日本でした。
彼女が「ガチョーク讃歌」のステージングで来日していた時、滞在先のホテルで偶然、美空ひばりさんの特番を目にしました。

その時、彼女がこう言いました。
この歌手は誰?バレエにするべきよ。

そこから、「HIBARI」という作品が生まれました。今思えば、あの瞬間がすべての始まりだったのかもしれません。

彼女の作品には、人の感情がそのまま舞台に現れるような力があります。
だからこそ、
この作品をもう一度、ちゃんと届けたいと思いました。

僕にとって「HIBARI」は、
新しい挑戦であると同時に、原点に戻る作品でもあります。



僕は、バレエは進化すべきだと思っています。

ただしそれは、分かりやすくするということではありません。本物のまま、届け方を変えるということです。

エンターテイメントとしての強さと、バレエとしての深さ。その両方を成立させること。


それが、NBAバレエ団としての挑戦です。
今回、この2作品を同時に上演するのにも理由があります。

新しい体験を切り拓いていくことと、
大切なものを受け継いでいくこと。


そしてそのどちらも、リンが私たちに残してくれたものだと思っています。

もしあなたが、「バレエは少し難しそう」と思っているなら、
ぜひ一度、観に来てください。

そしてもし、
最近、心が動く体験をしていない」と感じているなら、なおさらです。


この挑戦が正解かどうかは、正直わかりません。
でも、だからこそ面白いと思っています。

劇場で、その答えを一緒に確かめてもらえたら嬉しいです。
お待ちしています。

「リトルマーメイド」「HIBARI」公演情報は
こちらからご覧いただけます。↓