「Grace & Speed 2024」の見どころをご紹介!

皆さまこんにちは!いつもNBAバレエ団の公演をご覧になっていただき、心より感謝申し上げます。芸術監督の久保綋一です。

今回は残り2週間と少し、いよいよ上演が近づいてきた「Grace & Speed 2024」の見どころを、恒例となりましたが3つ、皆さまにご紹介したいと思います。

〜見どころ解説〜

その1:「今回の舞台にかける思いと、ゲストダンサーYamakai TVこと山本開斗さんとネレアさん」

本公演タイトルには非常に思い入れがあります。コロナ禍真っ只中の2020年に「白鳥の湖」「ジゼル」「ドラキュラ」と軒並み延期・中止を余儀なくされた後、「ライブエンタメ、バレエ文化の火を灯し続けるんだ!」と、ダンサーとスタッフが一丸となり実現させた舞台が「Grace & Speed」だったからです。優美さと疾走感という、まさにNBAバレエ団を表すのに最適なタイトルであり、2024年バージョンにおいても、クラシックバレエの精密な技術と美しいフォーム、そして音楽の融合を是非とも心から楽しんでいただきたいと思います。バレエの持つ高い技術水準は他のライブエンタメとは一線を画しますし、ガラ公演を観る際の楽しみ方の一つだと思います。

ヤマカイさんとは以前、彼のYouTube動画撮影でバレエ団にお越し頂いた際に、高い洞察力と知性、意欲と使命感を持っている人だなあと感じ、共にアメリカでのバレエ生活を送ったものとして共感するところが多くあり、今回オファーさせていただきました。今回の舞台は幅広い層のお客様にバレエを観てもらいたいと考えており、ヤマカイさんの舞台以外のバレエ公演を見たことがないお客様にも是非一度ご覧になっていただき、ご意見をお聞かせいただければ嬉しいですね。

その2:「NBAバレエ団レジデントコリオグラファーによる世界初演作品」

若干格好をつけて書きましたが、日本語に訳すと常任振付家という意味ですね。ここ最近のNBAバレエ団の舞台で、私とのタッグでその才能を遺憾無く発揮してきた安西健塁と岩田雅女。安西は惜しまれつつ昨年12月公演でバレエ団でのダンサーのキャリアを終え、岩田はダンサーとしても活躍を続けております。全幕作品では色々と口を挟む私ですが、今回は一切口出し無しです。実は、私もまだ作品を見たことがないので、今後のリハーサルが楽しみです。

安西作品で使用する音楽は、ラフマニノフ「舞踊的舞曲」から第3楽章。一言で表すと「ド派手」(笑)。ダンサーも曲の迫力に負けないように踊る必要がありますね!こちらの作品にはヤマカイくんとネレアさんも出演します。

岩田作品の「Schritte」は昨年のジュニアカンパニー公演において振り付けられた作品ですが、今回男性ダンサーの追加や曲の改変など、一度ご覧になった方も新たな発見をしていただけると思います。このように再演時の変更や、同じ作品でも違うダンサーが踊ることによる違いなどを見つけるのも、バレエを観る楽しみの一つと言えますね。

その3:「注目ダンサーについて」

上記初演作品以外にも注目作品が目白押しです。

◎ダイアナとアクティオン:
昨年末にプリンシパルに昇格し、正確なテクニックと愛らしい表現が魅力の勅使河原綾乃と、ダイナミックなジャンプとシャープなターンが持ち味の栁島皇瑶が踊ります。本演目は私にとっても十八番で、思い入れがあります。音楽も盛り上がりますし、技術的難易度も高く、見応え満点です。ただ、男性衣装はほぼパンツ一丁で、4月とは言えまだ寒いかも。その分、筋肉の繊維一つまで見れるのも見どころですね。

◎「ロミオとジュリエット」よりパドドゥ
今回のゲストアーティストであるヤマカイさんとネレアさんが踊ります。初回のリハーサルにおいて当初の予定を変更し、私が現役時代に踊ったことのあるマーティン・フリードマン版を踊りたいと申し出ていただいたことは嬉しかったですね。当該版はフィジカル的にとても過酷で、ましてリハーサル期間も限られており、条件的には挑戦となると思いますが、二人のパートナーシップと素敵な表現はまさにロミオとジュリエットにピッタリ。これは是非とも皆さまに会場にてご覧になっていただきたいです。

◎「ライモンダ」より第3幕
「ライモンダ」は1898年にロシアのサンクトペテルブルグのマリインスキー劇場で初演されました。ハンガリーでの11世紀から13世紀における十字軍の時代が舞台です。正直、今回ご紹介する第3幕のハイライト以外、全幕はそれほど面白いと思ったことはなく、悪役であるアブデラフマンがカッコいいな〜という印象程度です。今回は出ませんが。ただ、音楽が素晴らしい!個人的な趣向も多分に含みますが、グラズノフの音楽は本当に素敵です。こちらはプリンパルの山田果歩と、同じくプリンシパルの宮内浩之、そして、他6組のダンサーが踊ります。

山田は昨年末に昇格し、確実なテクニックと端正な踊りが魅力です。チュチュが似合う正統派ダンサーです。宮内は入団10年目の、NBAバレエ団推しも押されぬスターです。そして、男前です。このナンバーは、まさにこれぞ「ザ・バレエ」。バレエの醍醐味を味わっていただければ嬉しく思います。

最後に、今回開演時間が18時と開演時間が早いため、見に行きたいけど間に合わない〜という方にお知らせです!今回はガラ形式の舞台でストーリーがありませんので、遅れて来ても物語が分からない心配はございませんし、途中入場も大歓迎です!良いお席でのご鑑賞をお求めの方は、早めのご予約をお勧めします!